賃貸契約の要チェックポイント!
公開日:2022年07月05日
賃貸契約を結ぶ際、どんな項目をチェックしていますか?
家賃、敷金礼金、仲介手数料、各種保険・・・あたりでしょうか。
金銭に関することは当然確認されると思いますが、気にして確認した方が良いポイントは実はこれ以外にも沢山あります。
今回は、難しいと感じがちな“契約”関連のお話をしたいと思います!
契約を交わす前に仲介業者から渡される“重要事項説明書”
仲介業者を通して物件探しをすると、契約以前に必ず「重要事項説明」が宅地建物取引士(宅建士)によって行われます。
この重要事項説明の際に渡される「重要事項説明書」は、賃貸借契約書とは別物です。
重要事項説明書の内容は、契約をするか否かの判断材料になる大切な事項が詰まっています。
例えば、2020年8月から重要事項説明の1つに追加で義務付けられたのが、「ハザードマップにおける取引対象物件の所在地」の説明です。
義務付けに伴い、国土交通省が新たにハザードマップポータルサイトの運用を開始しています。
ただ、上記のような内容は調べようと思えば自力でも調べられますよね。
重要事項説明でよく確認した方がよい内容は実はもっと他の部分です。
重要事項説明書のどこを特に注意すべきか、いくつかの項目を挙げていきましょう。
特約について
重要事項説明を受ける当該物件に特有の事情や契約事項がある場合には、特約に記載をして説明をする事になっています。
例としては、
“忌避事項” → 自殺・事件・事故があった
“嫌悪施設” → 近隣に墓地・暴力団事務所・火葬場がある
などです。また「賃借人に不利な条件を含む契約」が記載されている場合もあります。
具体的には、賃借人に費用負担を求める内容や敷金の取扱いに関する内容などです。
重要事項説明書に記載があるのに説明が無かったり、納得の行かない内容の場合は要注意です。
供給処理施設について
供給処理施設とは、主に水道、ガス、電気、下水といったインフラの整備状況のことを指します。特に“ガス”に関しては、プロパンガスでないか確認しましょう。
寒冷地や山岳地帯でなくてもプロパンガスを導入している物件はあります。プロパンガスはガス代が割高になるケースがほとんどです。
これは始めに目にする物件情報の詳細でも確認できることが多いので、情報のズレがないかをWチェックしましょう。
また、配管のメンテナンス(清掃や修理、交換)がいつ行われたかなども、できれば確認した方が良いでしょう。
前の居住人の時の汚れがそのまま排水口に詰まっていたり、水道管が劣化していて住み始めてから漏水したり、と言うリスクを最小限に抑えることに繋がります。
設備の整備状況について
設備の整備状況とは、どのような設備が設置されているのかという情報です。
エアコン、温水洗浄便座、換気システム、浴室乾燥機など多岐に渡ります。
物件情報には「有」と記載されていても、重要事項説明書に記載がない場合は要確認です。
“備考”や”特約”に設備関係の記載があることもありますし、「貸与」の場合は設置設備としての記載ではないため、故障や破損でも修理・交換をしてもらえない可能性があります。
更新に関する事項
賃貸契約の更新については、更新料●●円など物件情報で確認しますよね。
ただ、賃貸契約は必ず更新できるとは限りません。
“定期借家契約”と言うものがあり、これは契約期間満了時に確定的に賃貸借契約が終わってしまうため、契約終了時に退去しなければならない契約です。つまり更新することができない物件と言うことです。物件情報でも記載があることがほとんどですが、念のため重要事項説明書でもきちんと確認した方が良い内容です。
また契約解除について、「退去予告は●●日前までに」などの規定が記載されています。これを確認しておかないと、次の引越し先とW家賃の期間が発生してしまう事があります。
通常は1か月前の場合が多いですが物件によって異なりますので、併せて確認しておきましょう。
用途や利用の制限について
部屋の用途や利用の制限は「禁止事項」のことです。
賃貸借契約書には特に記載がない場合もあり、重要事項説明書でしっかりと確認したい項目です。
よくあるトラブルとしては、
“ペット可”だからとよく確認せずに飼育禁止動物を飼っていた
“楽器可”物件だが、自身の楽器が禁止楽器だったり演奏可能時間を超えて演奏していた
他にも、石油ストーブの利用、ルームシェアの可否、事務所利用の可否などがあります。
賃借人には(賃貸人も)「善管注意義務」と言う、簡単に言うと“常識的に当たり前の注意を持って管理・使用する”義務があります。
“常識的に当たり前の注意”の定義は明確に規定はなくあいまいですが、もし重要事項説明を把握していない不注意で禁止事項を犯してしまったとなると、善管注意義務違反で賠償責任などが発生する可能性もあります。
全てを読むのは大変かもしれませんが、重要事項として挙がっている事項はしっかりと読み込んで把握しておきましょう。それが後々にあなた自身を守ることになります。
敷金の清算に関する事項ついて
こちらは退去時にトラブルになりやすい項目です。「特約について」の項目でも書きましたが、賃借人に不利な内容である事があります。
・入居時に支払った“敷金”の取り扱い
・原状回復義務の内、賃借人の負担割合・部分
・退去時に部屋の修繕が必要になった場合における賃借人の費用負担
これは契約前に必ず細かく確認しておきましょう。
「敷金は全額戻ってくる」と思い込んでいたら・・・と言う事はよく起こります。
逆に「敷金なんて戻ってこないでしょ」と思っていたために、本当は返してもらえるはずの敷金まで足元を見られて返金してもらえていない、と言うこともあります。
契約解除時は仲介会社を通さず家主又は管理会社と直接やりとりすることが大多数だと思いますので、ご自分で把握することが大切です。
原状回復義務については、“経年劣化”や不通に暮らしているだけの状態の”通常損耗”の修繕は賃貸人負担なのですが、これ以上の費用を賃借人に負担させる家主が未だいるのが実情です。
重要事項説明書でどのように記載されているか必ず確認しましょう。設備の故障関係についても同じです。
「重要事項説明」の重要さ
特にきっちりとチェックした方が良い項目を複数挙げてきましたが、これらは全て後々のトラブルを避ける為に必要なものであることが分かりますね。
重要事項説明は宅地建物取引士の資格をもった人間が必ず行わなければならない事です。それだけ、仲介のトラブルを避けるための対策として重要だと言う事です。
賃貸借契約書はもちろんですが、重要事項説明書は当該物件に問題なく住み問題なく退居するための決め事確認書です。
納得いかない事は質問・交渉すべきですし、納得いくまで確認をすべきものです。そして、家主にとっても資産は大切に使用してもらいたいので必要なのです。
賃借人・賃貸人双方にとって良い契約になるよう、重要事項説明書を読みこんで、思い込みや勘違いが起こらないように臨んでくださいね。